うれしい〈フォーチュン〉
10月上旬にフォーチュンクッキー「こと葉」を発売して、まもなく2ヶ月が経つ。
10日に一度程度入荷するのだが、嬉しいことに入荷後まもなく完売が続いている。
親しい人へのギフトにしてくださっている人、
毎日ひとつずつ開けてみて、どんな言葉が出てくるか楽しみにしている人、
メッセージに励まされて前を向けたと教えてくださった人、
色々な声が寄せられて、本当にうれしく思う。
気がつくと、いつも心の中で何かしら言葉をつづり続けている。
その言葉たちは、最初、自分自身を励ます自分へのメッセージだった。
けれど作家になって、それはいつしか読者と共有するための言葉に変わっていった。
ふと、思いついた。
「こと葉」には30の言葉が込められている。
すべて私の心の中に芽生えた、自分と誰かに贈る言葉だ。
言葉は日々どんどん湧いてくる。それを「こと葉」を通して誰かと共有し続けられないだろうか。
「こと葉」に、いつも新しい言葉を込め続けられたら。
YOLOsの逹平店長を通して、フォーチュンクッキーの製造元に「新しい言葉を入れられるか」尋ねてもらったところ、
「こと葉」は1箱に4個のフォーチュンクッキー入りなのだが、フォーチュンクッキー3千個ごとに中にいれるメッセージの版をあらためることができると確認できた。
つまり「こと葉シリーズ」は、3千個ごとに新ヴァージョンを作れる、ということだ。
おおよそ3ヶ月程度で生産数が3千個に達するから、その計算で行くと、年に4回、新ヴァージョンを出せる。
つまり、1年間で120の新しい言葉が、誰かのもとに届けられる。
ささやかな幸せとともに。
……ってそれ、めっちゃいいアイデアじゃないか!
「やってみたい」気持ちが、むくむくと入道雲のごとく湧き上がってきた。
よし、やってみよう。新ヴァージョンごとに、新しくタイトルをつけて。
いつも新しい言葉を届けよう。
そんなわけで。
「こと葉」誕生記念・第1ヴァージョン「あしたの、あなたに、あいたい」。
おそらく来年1月中に完売となると予想され、来年早々に第2ヴァージョンが発売される予定となった。
メッセージは毎日「こと葉フォーチュンノート」に書きつけている。
どこかの誰かと、自分自身に向けて。
ちなみに、「こと葉」発売のタイミングにばっちり重なって、『本日は、お日柄もよく』が70万部突破となった。
こちらは出版から10年が経って、いまなお多くの読者が手に取ってくださり、共感をいただいている。ほんとうにうれしい。
これを記念して、出版元の徳間書店が「70万部突破」の金帯を巻いてくださった。紅白の水引によく映えて、リアルな「映え」カバーとなった。
この70万部金帯付き文庫(サイン入り)と、「こと葉―2023年第1ヴァージョン:あしたの、あなたに、あいたい。」をカップリングして、世にもおめでたいギフトセットを作った。
このダブル・フォーチュンを大切な誰かに、そして自分自身に贈っていただけたら、さらにうれしいです。
「こと葉」に込められているのは、小さな、小さな幸せである。
だけど、私は第1ヴァージョンに、
「小さな幸せが、いちばんの幸せだ」
というメッセージも入れた。
友人が、このメッセージを「引き当てた」と、それはうれしそうに教えてくれた。
私もまた、うれしくなった。
うれしい、うれしいフォーチュンの連鎖。
何度でもうれしくなろう。
ささやかな幸せの言葉を求めてくれる誰かがいる限り、続けよう。
そう決めた。