#5 餃子の結婚
餃子の結婚。
――というフレーズをひと目見て「ぎょうこの結婚」と読んでしまったそこのあなた。
あなたは私と同じくらい、ギョウザに夢中に違いない。
ぎょうこさん。好きです。結婚してください。
そう打ち明けてしまいそうになるほど、私はギョウザに夢中である。
――というような話ではない。
餃子と結婚(マリアージュ)させるパートナーには何がいちばんふさわしいか、その結論に達したので、ここに発表したい。そういう話である。
私が仲人となって、ぎょうこさん、いや餃子に紹介したいベストパートナーは、なんと二人いる。
いや、二人じゃなくてふたつか。
ひとつは食堂おがわの柚子胡椒。
予約が取れない料理店で超有名な京都の名店、食堂おがわの小川さんが、丹精込めて手作りしたそれはそれは美味しくてフレッシュな柚子胡椒。
調味料界きってのキレッキレのさわやかなイケメンを、餃子が無視できるはずがない。
しかも柚子胡椒、単独ではなく「ユニット」でプロポーズを仕掛けてきた。
ユニットの相方は、「中野酢」。
そんじょそこらのお酢じゃないことは、「中野」という立派な苗字がついていることからもわかるはずだ。
京都市北区にあるお酢の蔵元、中野商店が、米を惜しみなく使って醸造し、完成したお酢である。
このお酢に出会ったとき、本当に驚いた。なぜって、お酢なのにほんのり甘いのである。
お米をたくさん使っているから、コメの甘みを感じられるらしい。
そして肝心のプロポーズされる側、愛しの餃子。
4月にYOLOsで開催された「餃子超人」イベントでも大人気を博した「餃子のかわしも」の水餃子。
餃子は焼き!と思っていた私の餃子概念は、この餃子の登場によって覆された。
水餃子になるために生まれた、ナチュラル・ボーン・水餃子である。
なんという幸福な、愛と美味に満ちたマリアージュだろう。
披露宴会場には、最高の場所を用意しよう。
それは私の、そしてあなたの口の中である。